父、母

父はどす黒い顔をしていた。
心配そうな目をしていた。
どこか申し訳なさそうなしぐさをした。

もしかして、
ふと思った。

母、
後で思ったのだが父に近づいて話しかける姿。
今まで見たことなかった。

帰りの車の中、
母は常に話していた。

今まで我慢していたのではないだろうか、
これくらいなら大丈夫と自分で判断していたのでは、
病気らしき病気をしていなかった父。
ここへきて、悪い箇所が一挙に出た。

母の話は続いた。


入院

そんな父が入院した。
我慢強い、というよりも口には出さない父。
これくらいの痛みなら大丈夫、
そう思い過ごしていた。
それが限界に来た。
近くの病院で診てもらおうと出かけていったのだが、
そのまま救急車に乗ることになった。
医者は、どうしてこのようになるまで何もしなかったのか、
少々声を荒げた。
救急治療室。
体中に管が通された。
絶対安静状態である。


 何から話をしたらよいのであろうか、
父の入院あたりから書き進めていこう。
父、平凡な人、まじめな人、多くを語らない人。
そのようなありふれえた老人である。
国鉄職員だった。
JRになったその前年、定年退職した。
その後も知人の紹介で大手製薬会社に勤めることができた。
勤務をまっとうした。
年金生活。
悠々自適。その言葉が会うのだろうか?
息子達はいい年もして結婚もしていない。
孫の顔も見れていないのである。
それでもおとなしく、何事もなく過ごす父親であった。




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